このページでわかること(結論ファースト)
- ✅ 外国人でも条件を満たせば雇用保険(失業保険)の基本手当を受給できること
- ✅ 受給のための具体的な手続き手順(離職票の入手からハローワークでの申請、待期期間・給付制限、認定日まで)
- ✅ 必要な書類リストや在留資格との関係、失業中の注意点(ビザ更新・取消条件など)
- ✅ 外国人対応が充実した主要都市のハローワーク情報や、よくある質問への回答
日本で働く外国人の方が安心して失業給付を活用し、生活の安定と次の就職準備に役立てられるようポイントをまとめています。
外国人の失業保険未活用という問題と解決策【Problem → Solution】
日本で仕事を失った外国人にとって、収入の不安や言語の壁は深刻です。本来受け取れるはずの失業保険(雇用保険の基本手当)も、制度への理解不足や手続きのハードルから未活用のままになってしまうケースが少なくありません。事実、厚生労働省によれば日本で働く外国人労働者数は2024年時点で約230万人に増え過去最多を更新しています。この中には予期せず離職を経験する人も多く含まれるでしょう。それでも「外国人だから失業保険はもらえないのでは?」と誤解し、経済的支援を受け損ねてしまう方がいます。
解決策はシンプルです。外国人であっても日本人と同様に雇用保険に加入していれば、失業手当を受給できます。国の制度上、国籍を問わず被保険者となる権利が保障されており、離職後にハローワークで所定の手続きを踏めば給付金を受け取ることができます。「ハローワーク」は日本全国にある公共職業安定所で、失業者への給付と再就職支援を行う心強い存在です。
つまり問題の解決策は、「雇用保険の制度を正しく理解し、必要な書類を揃えてハローワークで申請手続きをすること」。これにより外国人でも失業保険を活用できるのです。以下では、公的なデータや公式の指針も引用しつつ、具体的な条件や申請ステップをわかりやすく解説していきます。不安な気持ちに寄り添いながら、一緒に解決への第一歩を踏み出しましょう。
公的データから見る「外国人×失業保険」のポイント
厚生労働省や出入国在留管理庁のデータや見解も、外国人の雇用保険受給について重要な示唆を与えています。信頼できる情報に基づき、ポイントを確認しましょう。
- 外国人労働者も雇用保険の対象: 厚生労働省のガイドラインでは「日本で雇用されれば日本人か否かに関わらず雇用保険の被保険者となる」と明記されています。つまり雇用保険料を支払い被保険者資格を得ていれば、国籍に関係なく退職後に失業給付を受け取れる仕組みです。
- 外国人雇用の現状: 前述の通り、日本で働く外国人は年々増加し約230万人に達しています。雇用形態も多様化し、専門的・技術的分野の在留資格で働く人や技能実習生などさまざまです。このような背景から、外国人への雇用保険制度の周知と支援がますます重要になっています。
- 在留資格と失業: 出入国在留管理庁の定めるルールでは、就労系ビザで3か月以上働いていない状態が続くと在留資格取消の対象になり得ます(※正当な理由がある場合を除く)。ただし「具体的な就職活動を行っている場合」は正当な理由ありとみなされ、直ちにビザが取り消されることはありません。積極的に求職し失業保険も活用することが、ビザ維持の面でも有利と言えるでしょう。
以上のデータや制度からも、「外国人だから」と諦める必要はないことがわかります。次章から、実際に失業保険を受け取るための条件や手順をステップごとに見ていきましょう。
失業保険を受け取るまでのステップ【Step-by-Step】
日本で失業保険(雇用保険の基本手当)を受給するために、外国人の方が踏むべき手順を順番に解説します。初めてでも迷わないよう、ひとつひとつ確認していきましょう。
- 雇用保険への加入状況を確認する
まずは自分が雇用保険に加入していたかを確認します。日本では週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがある労働者は原則として雇用保険の適用対象です。正社員だけでなく契約社員やアルバイトでも条件を満たせば加入しています。給与明細の「雇用保険料」控除欄の有無や、入社時に受け取った雇用保険被保険者証が手元にあるかで確認しましょう。外国人であっても適用条件を満たせば被保険者となっています。 - 離職票を受け取る
離職後、前の勤務先から**「離職票」という書類が発行されます。これは退職した事実と雇用保険加入期間、離職理由が記された大切な証明書です。通常退職後1~2週間ほどで郵送されるか、直接受け取ります。離職票は失業保険の申請に必須**なので、手元に届かない場合は前 employer(会社)に問い合わせてください。また、併せて雇用保険被保険者証も会社から返却されているはずなので確認します。 - ハローワークで求職申込みと受給手続き
離職票などの必要書類が揃ったら、居住地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に行きます。窓口で求職申込書に必要事項を記入し、失業保険受給の申請を行いましょう。ここで「仕事を探しています」という意思表示をすることが重要です。提出書類に基づき、ハローワーク職員が受給要件を満たしているか確認します。要件を満たせばその場で受給資格の決定がなされ、雇用保険受給資格者証という書類が発行されます。あわせて職員から今後の流れについて説明があり、雇用保険説明会への参加日時や初回の失業認定日が案内されます。緊張するかもしれませんが、質問があれば遠慮なく確認しましょう(言葉が不安な場合は後述の通訳サービスも利用できます)。 - 受給資格決定と待期期間(+給付制限)
手続きを終え受給資格が決まると、まず7日間の待期期間が始まります。この間はどなたでも給付金は支給されません(働ける状態かどうかの確認期間です)。さらに、自己都合退職の場合は待期満了後に原則3か月間の給付制限があります。これは「すぐに再就職せず一定期間は給付を受けられない」ペナルティのようなものです。一方で**会社都合退職(解雇や契約満了など)**であれば、この3か月の給付制限はありません。例えばリストラや倒産により離職した場合、退職前1年間に被保険者期間が6か月以上あれば、待期終了後すぐに基本手当の支給対象となります。自身の離職理由によって給付開始時期が異なる点に注意しましょう。 - 定期的な「失業認定日」に出頭する
失業保険を受け取るには、受給期間中4週間に一度の「失業認定日」にハローワークへ行き、失業状態であることの確認を受ける必要があります。初回の認定日は手続き時に知らされ、その後おおむね28日ごとに設定されます。認定日にハローワーク窓口で「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」を提出し、求職活動の状況を報告します。具体的には認定期間中に2回以上は求人への応募や面接等の求職実績が必要です。職員が「確かに就職の意思を持ち活動していますね」と認めれば晴れて失業認定となり、その期間分の基本手当が後日指定口座に振り込まれます。毎回の認定日を忘れず出頭することが継続受給の条件です。
以上が基本的な流れです。なお、ハローワークの説明会では再就職に役立つ情報も提供されますし、早期に再就職先が決まった場合には再就職手当(残り日数に応じたボーナス支給)を受け取れる制度もあります。失業保険を受け取りつつ、次のキャリアに向けた準備を進めましょう。
失業保険の申請に必要な書類リスト
手続きをスムーズに行うために、事前に必要書類を揃えておきましょう。以下が主な必要書類のリストです。
- 離職票(離職票-1、離職票-2): 前職の会社から発行される離職証明書。退職理由や被保険者期間が記載されています。原本が必要です。
- 雇用保険被保険者証: 雇用保険に加入していたことを示す証書。入社時や離職時に会社から渡されています。紛失した場合でも手続き可能ですが、ある場合は持参してください。
- 在留カード: 現在の在留資格や期間を確認するため提示します。顔写真付きの在留カードが本人確認書類になります。併せてパスポートも持参が推奨です。
- マイナンバー確認書類: マイナンバーカードがあればそれ1枚でOKです。持っていない場合はマイナンバー通知カード等+身分証(在留カードで代用可)を提示します。
- 証明写真(縦3cm×横4cm)2枚: ハローワークでの求職申込書などに貼付する写真。最近6か月以内に撮影したものを準備しましょう。
- 銀行口座の通帳やキャッシュカード: 自分名義の銀行口座情報がわかるもの。失業手当の振込先として使用します。ゆうちょ銀行以外の一般銀行口座が望ましいです。
- 印鑑(あれば): 日本では書類に印鑑を押す習慣があります。サインでも手続きできますが、認印を持っていれば持参してください。
👉これらをひとまとめにして持参すれば安心です。不備があると手続きが遅れる原因になるため、事前チェックをおすすめします。特に離職票は原本が必要なので注意してください。
在留資格と失業中の注意点
日本で失業中に気を付けたい**在留資格(ビザ)**に関するポイントを解説します。就労ビザで働いていた外国人が離職した場合、ビザの維持や今後の手続きで不安を感じるかもしれません。以下の点に注意しましょう。
- 14日以内に離職の届出: 就労系の在留資格を持つ外国人は、仕事を辞めた際に入国管理局へ届出を行う義務があります。具体的には「所属機関を辞めた旨」を退職後14日以内にオンラインまたは書面で届け出ます。忘れずに手続きを行いましょう。届出自体が直ちに不利益を招くものではありませんが、未届は在留資格更新の際にマイナスになる可能性があります。
- 在留資格のまま就職活動が可能: 現行制度では、たとえ離職しても在留期間が残っている限りそのままのビザで求職活動を行うことが可能です。**就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)**の場合、資格に応じた職種での再就職活動を続ける限り問題ありません。出入国在留管理庁も「退職後、具体的な就職活動を行っている場合」は在留資格取消の対象としないとしています。したがって、失業保険を受け取りながら積極的に就職先を探すことはビザ維持の上でも重要です。
- 3か月以上の無職状態に注意: 就労ビザ保持者が正当な理由なく3か月以上就労活動をしない場合、在留資格の取消対象になり得ます。実際にはハローワークで求職中であれば「正当な理由あり」と判断されますが、長期のブランクは望ましくありません。できるだけ早めの再就職を目指しましょう。どうしても就職先が見つからない場合、在留期限内であれば**特定活動(就職活動ビザ)**への変更を検討する選択肢もあります(要相談)。
- 在留期間の更新・変更: もし在留期限が近づいている場合は注意が必要です。更新申請時に無職だと審査で苦戦する可能性があります。失業中でも次の仕事が内定しているか、求職中であることを示す書類(ハローワークの登録証など)があれば提出しましょう。また、配偶者ビザや永住者など就労制限のない在留資格の方は、失業そのものが在留資格に直結しません。ただし、配偶者ビザで離婚予定などの場合は別途注意が必要です。
- 対象外のビザ: 一方で短期滞在やワーキングホリデー等の在留資格の方は、そもそも雇用保険に加入していないため失業手当の受給対象ではありません。留学生の資格でアルバイトしていた場合も、週20時間未満の勤務だと雇用保険適用外のことが多いです。在留資格上働けない・働いていない人は失業保険はもらえない点は留意してください。
失業中は何かと気持ちが落ち着かないものですが、在留資格の手続きだけは計画的に対応することが大切です。不安な場合は最寄りの入管窓口や専門家に相談すると安心でしょう。
外国人対応が充実している主要都市のハローワーク【比較表】
日本全国のハローワークの中には、外国人向けの支援体制が特に整っている拠点があります。主要都市では英語をはじめ多言語対応が可能な通訳スタッフが配置され、専門の相談窓口も用意されています。代表的な都市のハローワークを比較表にまとめました。
都市(ハローワーク拠点) | 対応言語の例 | 外国人専門窓口 |
---|---|---|
東京(新宿・四谷) | 英語、中国語 など | あり(外国人雇用サービスセンター) |
名古屋(愛知) | 英語、ポルトガル語、スペイン語 など | あり(外国人雇用サービスセンター) |
大阪 | 英語、中国語、ベトナム語、ネパール語 など | あり(外国人雇用サービスセンター) |
福岡 | 英語、中国語 など | あり(外国人雇用サービスセンター) |
- 東京: 東京都内には「東京外国人雇用サービスセンター」(四谷)と「新宿外国人雇用サービスセンター」の2か所の専門拠点があります。英語・中国語対応可能な職員がおり、在留資格別の細やかな相談が受けられます。ただし、雇用保険の給付手続き自体は居住地管轄のハローワーク(例:ハローワーク渋谷など)で行う必要がありますので注意してください。
- 名古屋: 名古屋外国人雇用サービスセンターでは英語のほか、日系ブラジル人が多い地域柄ポルトガル語やスペイン語の通訳も常駐しています。履歴書の書き方指導から求人紹介まで一貫したサポートが特徴です。
- 大阪: 大阪外国人雇用サービスセンターは対応言語が豊富で、英語・中国語はもちろんベトナム語やネパール語など東南アジア系言語の相談も可能です。関西圏で就職活動する外国人にとって強い味方でしょう。
- 福岡: 福岡外国人雇用サービスセンターは九州地域の拠点で、英語・中国語対応があります。近年はアジアからの留学生支援にも力を入れており、LINEでの求人情報発信など工夫したサービス提供を行っています。
👉このように主要都市のハローワークでは外国人支援が充実しています。「言葉が通じるか不安…」という方も、ぜひこれらの窓口を活用してみてください。お住まいの地域に専門窓口がない場合でも、主要なハローワークには電話通訳やバイリンガル職員の配置が進んでいます。困ったときは一人で悩まず、遠慮なく頼ってみましょう。
よくある質問(Q&A)
最後に、外国人の方から寄せられがちな疑問にQ&A形式で回答します。疑問や不安を解消し、安心して手続きを進めましょう。
Q1. 外国人でも日本で失業保険をもらえますか?
A1. はい、**外国人でも受給できます。**雇用保険の適用条件を満たし被保険者となっていれば、国籍に関係なく失業手当を受け取ることが可能です。実際に多くの外国人労働者が退職後にハローワークを通じて給付を受けています。「外国人だからダメ」ということは一切ないので安心してください。
Q2. 在留期間が短く残っていなくても申請できますか?
A2. 申請自体は可能です。ただし、受給期間中に在留期限が来て日本にいられなくなると、その後の給付はストップしてしまいます。理想的には、在留期間にまだ余裕があるうちに手続きを行い、その間に再就職先を決めることです。もし在留期限が迫っている場合でも、まずは失業保険の申請をしつつ、並行して在留期間の更新や在留資格変更の相談を入管にすると良いでしょう。いずれにせよ、給付中は定期的に日本のハローワークに出頭する必要があるため、日本国内に滞在して求職を続ける意思があることが前提となります。
Q3. 自己都合退職(自分の意思で退職)でも失業保険はもらえますか?
A3. **もらえます。自己都合退職の場合でも、離職前2年間に通算12か月以上の被保険者期間があれば基本手当の受給資格があります。ただし前述のように、給付開始まで3か月の待機(給付制限)**が設けられる点が会社都合退職との違いです。離職理由は離職票に記載されハローワークで確認されます。自己都合でも「やむを得ない退職理由(例:ハラスメントで退職など)」と認められれば給付制限が解除されるケースもあります。いずれにせよ、手続きをすれば自己都合退職者も支給対象となりますので諦めずに申請しましょう。
Q4. 失業保険はいくら、何ヶ月もらえるのでしょうか?
A4. 給付額と給付日数は人によって異なります。直近の給与額や勤続年数、離職理由、年齢によって基本手当日額と所定給付日数が決定します。例えば勤続年数が短い方なら90日分程度、長年働いた方や会社都合退職の場合は最大で330日分程度支給されることもあります。基本手当日額は賃金日額の50~80%程度(60歳以上は45~80%)で上限額が設定されています。具体的な金額はハローワークの受給資格決定時に通知されますので、その際に確認しましょう。なお、早期に再就職した場合は再就職手当(残り日数の50%相当など)が支給される制度もあります。
Q5. 語学に自信がありません。ハローワークでの手続きは日本語で行わなければならないですか?
A5. ハローワークでは必要に応じて通訳や多言語対応が受けられます。主要都市の外国人雇用サービスセンターには英語はもちろん、中文やポルトガル語など通訳スタッフがいます。また一般的なハローワークでも、英語や他言語の案内パンフレットが用意されていたり、電話通訳サービスで対応したりすることが可能です。言葉が不安な場合は受付で「○○語の通訳をお願いします(Please provide an interpreter in ___)」と伝えてみてください。友人に同行してもらうこともできます。言語の壁で手続きを諦める必要はありません。
まとめ:失業保険を活用して次のキャリアにつなげよう
仕事を失った直後は不安でいっぱいだと思います。特に外国での失業となれば、経済的な心配と同時に「これからどう動けばいいのか?」と戸惑う気持ちも強いでしょう。しかし、日本には雇用保険(失業保険)という心強いセーフティーネットがあります。これは単なるお金の支援ではなく、**「あなたの再出発を応援する制度」**です。
失業保険を受け取ることで、しばらくの生活費の心配を軽減し、落ち着いて就職活動に専念できます。ハローワークでは求人紹介はもちろん、職業訓練や履歴書添削などキャリア支援サービスも受けられます。経済的・精神的に安定した状態で自己分析やスキルアップに取り組めば、きっと次の良い仕事に巡り会えるはずです。
大切なのは「困ったときは支援制度を活用すること」を遠慮しないことです。失業保険は、これまで働いて雇用保険料を納めてきたあなたの権利でもあります。制度を知り、一歩踏み出せば、必ずや新しい道が開けます。
あなたのキャリアはこれから続いていきます。失業保険の活用で生活を安定させ、次の就職に向けた準備期間を前向きに過ごしましょう。 ハローワークや周囲のサポートを受けつつ、新たなスタートに向けて一歩ずつ進んでいってください。応援しています!